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横浜地方裁判所 昭和50年(ワ)1949号 判決

原告 川崎市信用保証協会

右代表者理事 高橋正行

右訴訟代理人弁護士 高野俊男

被告 神奈川県信用保証協会

右代表者理事 入江敏夫

右訴訟代理人弁護士 村田武

被告 城南信用金庫

右代表者代表理事 杉村安治

右訴訟代理人弁護士 橋本一正

同 浅井通泰

被告 高津伝動精機株式会社

右代表者代表取締役 高津進

右訴訟代理人弁護士 中村源造

同 檜山玲子

主文

横浜地方裁判所昭和四九年(ケ)第四七号不動産任意競売事件につき同裁判所が作成した別紙第一配当表のうち順位3の1から5の2までの部分を別紙第三配当表のとおり変更し、これを実施する。

訴訟費用は被告らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

横浜地方裁判所昭和四九年(ケ)第四七号不動産任意競売事件につき同裁判所が作成した別紙第一配当表のうち順位3の1から5の2までの部分を別紙第二配当表のとおり変更し、これを実施する。

訴訟費用は被告らの負担とする。

二  請求の趣旨に対する被告らの答弁

原告の請求をすべて棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

(一)  債権者を被告高津伝動精機株式会社(以下、被告会社という。)、債務者を訴外浜田鉄工有限会社(以下、訴外会社という。)、所有者を訴外浜田好信(以下、訴外浜田という。)とする別紙物件目録記載の各不動産(以下、本件土地建物という。)に対する横浜地方裁判所昭和四九年(ケ)第四七号不動産任意競売事件(以下、本件任意競売事件という。)につき、同裁判所は、昭和四九年三月八日、競売開始決定をし、競売手続を実施して昭和五〇年五月一六日、競落許可決定をし、売得金につき別紙第一配当表を作成した。

(二)  原告は、以下(三)ないし(一一)により、昭和五〇年一二月二五日の本件任意競売事件の配当期日において、別紙第一配当表中順位3の1以下につき、同順位以下の配当金合計金一四〇〇万〇五四九円を原告に配当すべきことを主張して異議を述べたが、右異議は完結しなかった。

(三)  訴外会社は、昭和四七年八月二五日、訴外株式会社三菱銀行(以下、訴外銀行という。)から、金二〇〇〇万円を、利息を年七・五パーセント、遅延損害金を年一四パーセントの各割合とし、最終の弁済日を昭和五四年七月三一日として割賦弁済することとし、かつ、割賦弁済義務の履行を怠った場合には期限の利益を失うこととして借受けた。

(四)  訴外浜田は、昭和四七年八月二五日、訴外銀行に対し、本件土地建物につき、債権者を訴外銀行、債務者を訴外会社、債権の種類を銀行取引、手形債権、小切手債権、極度額を金二〇〇〇万円とする根抵当権を設定する旨を約し、同年九月二五日、右根抵当権設定登記手続をした。

(五)  原告は、昭和四七年八月二二日、訴外会社の委託により、訴外銀行に対し、訴外会社が訴外銀行に対して負担した右(三)の債務を保証する旨を約した。

(六)  原告、訴外会社及び訴外浜田は、右同日、右(三)ないし(五)の各契約につき、次のとおり約した。

(1) 原告が訴外銀行に対し訴外会社の債務を代位弁済した場合には、訴外会社及び訴外浜田は、原告に対し、連帯して、原告の弁済額全額及びこれに対する代位弁済の日の翌日から完済まで年一四・六パーセントの割合による遅延損害金を償還する。

(2) 原告が訴外銀行に対し訴外会社の債務を代位弁済した場合には、原告は、訴外浜田が訴外銀行に提供した担保の全部につき、訴外銀行に代位し、その求償権の範囲で訴外銀行の有していた一切の権利を行使できる。

(3) 訴外浜田が訴外銀行に対し保証債務を弁済し、又は訴外浜田が訴外銀行に提供した担保が実行された場合には、訴外浜田は、原告に対し、何らの求償をしない。

(七)  訴外会社は、昭和四八年一二月二五日、訴外銀行に対する右(三)の割賦弁済の不履行のため右(三)の債務につき期限の利益を失い、また、右(四)の根抵当権については、昭和四九年一月八日、取引の終了により担保すべき元本が以後発生しなくなったため、元本が確定し、同年八月六日、元本確定の付記登記がされた。

(八)  原告は、昭和四九年八月九日、訴外銀行に対し、訴外会社が訴外銀行に対して負担した右(三)の債務につき、訴外会社に代位して、その残債務全額として、元本として金一八八〇万円及びこれに対する昭和四九年一月一日から同年三月三一日まで九〇日間の約定以下の年七・五パーセントの割合による遅延損害金として金三四万七六七一円の合計金一九一四万七六七一円を弁済した。

(九)  右(四)の根抵当権は、右(八)の代位弁済を原因として原告に移転し、昭和四九年八月一三日、その旨の付記登記がされた。

(一〇)  前記(六)の約定によれば、民法五〇一条五号の規定の適用が排除されて、原告は、訴外浜田に対し、訴外銀行に代位して、訴外銀行が訴外浜田に対して有していた一切の権利を行使でき、かつ、民法四四二条二項の規定の適用が排除されて、原告の有する求償債権につき適用される遅延損害金の利率が約定の年一四・六パーセントとなるが、原告が訴外浜田に対して訴外銀行の有していた権利を行使する場合には、訴外銀行が訴外浜田に対して有していた権利を越えることができないから、その場合の遅延損害金の利率は、訴外銀行と訴外会社との間の約定の年一四パーセントとなる。

(一一)  従って、原告が右(九)により移転を受けた根抵当権の被担保債権として主張しうる金員は、右(八)の代位弁済合計額である金一九一四万七六七一円及びこれに対する代位弁済の日の翌日である昭和四九年八月一〇日から配当期日である昭和五〇年一二月二五日まで右(一〇)のとおり約定の年一四パーセントの割合による遅延損害金である金三六九万四一八九円の内右根抵当権の極度額である金二〇〇〇万円の範囲のものということになる。

(一二)  よって、原告は、別紙第一配当表中順位3の1以下を別紙第二配当表のとおり変更して実施することを求める。

二  請求原因に対する被告神奈川県信用保証協会(以下、被告協会という。)の認否

すべて認める。

三  請求原因に対する被告城南信用金庫(以下、被告金庫という。)の認否

(一〇)及び(一一)の主張は争い、その余の事実はすべて認める。

四  請求原因に対する被告会社の認否

(一)  (一)、(二)、(四)及び(九)の事実は認める。

(二)  (三)、(五)、(六)及び(八)の事実は知らない。

(三)  (七)の事実中、元本確定とその付記登記の点は認め、

その余は知らない。

(四)  (一〇)及び(一一)の主張は争う。

第三証拠《省略》

理由

一  請求原因(一)及び(二)の事実については、いずれも全当事者間に争いがない。

二  そこで、まず、原告が訴外会社に対して有する債権につき検討する。

(一)  請求原因(三)の事実については、原告と被告協会及び被告金庫との間に争いがなく、原告と被告会社との間においては、《証拠省略》によりこれを認めることができる。

右認定に反する証拠はない。

(二)  請求原因(五)の事実については、原告と被告協会及び被告金庫との間に争いがなく、原告と被告会社との間においては、《証拠省略》によりこれを認めることができる。右認定に反する証拠はない。

(三)  訴外会社が昭和四八年一二月二五日訴外銀行に対する請求原因(三)の割賦弁済不履行のため同(三)の債務につき期限の利益を失った事実(請求原因(七)の前半)については、原告と被告協会及び被告金庫との間に争いがなく、原告と訴外会社との間においては、《証拠省略》によりこれを認めることができる。右認定に反する証拠はない。

(四)  請求原因(八)の事実については、原告と被告協会及び被告金庫との間に争いがない。原告と被告会社との間においては、《証拠省略》によれば、原告が、昭和四九年八月九日、訴外銀行に対し、請求原因(三)の訴外会社の訴外銀行に対する債務として、元本として金一八八〇万円及びこれに対する昭和四九年一月一日から同年三月三一日まで年七・五パーセントの割合による金員として金三四万七六七一円を弁済した事実を認めることができ、《証拠省略》に右(三)の事実を合せ考えれば、右金三四万七六七一円が右元本に対する遅延損害金である事実を認めることができる。さらに、《証拠省略》によれば、訴外銀行が、同年四月一二日、原告に対し、代位弁済の請求として右各金員と同額を請求した事実を認めることができ、《証拠省略》によれば、訴外銀行が、右各金員の受領により、訴外銀行と訴外会社及び訴外浜田との間に作成された請求原因(三)の消費貸借契約証書及び同(四)の根抵当権設定契約証書を何の留保もなく原告に引渡した事実を認めることができる。右各事実に照らせば、訴外銀行が、右各金員の受領により、訴外銀行の訴外会社に対する請求原因(三)の債権の全部の弁済を受けた事実を推認することができる(民法五〇三条一項参照)。以上の認定及び推認を覆えすに足りる証拠はない。

(五)  訴外会社が昭和四七年八月二二日原告に対し、原告が訴外銀行に対し訴外会社の請求原因(三)の債務を代位弁済した場合には、原告の弁済額全額及びこれに対する代位弁済の日の翌日から完済まで年一四・六パーセントの割合による遅延損害金を償還する旨を約した事実(請求原因(六)の(1)の一部)については、原告と被告協会及び被告金庫との間に争いがなく、原告と被告会社との間においては、《証拠省略》によりこれを認めることができる。右認定に反する証拠はない。

(六)  右遅延損害金の利率の約定については、民法四五九条二項が準用する同法四四二条二項には、法定利息によるとの規定があるが、右は、当事者間に何の約定もない場合の利益の調整のための規定であって、当事者間に別異の約定がある場合には、右約定により利率が定まることになると解するのが相当である。

(七)  以上の事実によれば、原告は、右(四)の弁済により、訴外銀行が訴外会社に対して有していた請求原因(三)の債権につき元本として金一八八〇万円及びこれに対する昭和四九年一月一日から同年三月三一日まで九〇日間の約定以下の年七・五パーセントの割合による遅延損害金として金三四万七六七一円の合計金一九一四万七六七一円の債権を取得し、訴外会社に対し、求償債権として、右合計金員及びこれに対する代位弁済の日の翌日である昭和四九年八月一〇日から完済まで約定の年一四・六パーセントの割合による遅延損害金を請求しうることになる。

三  次に、原告が訴外銀行に代位して訴外浜田に対して主張しうる根抵当権の被担保債権額につき判断する。

(一)  請求原因(四)の事実については、全当事者間に争いがない。

(二)  《証拠省略》によれば、訴外浜田は、いずれも訴外銀行に対し、いずれも訴外会社が訴外銀行に対して負担する請求原因(三)の債務及び請求原因(四)の根抵当権の被担保債務につき、訴外会社と連帯して保証する旨を約した事実を認めることができるが、同一人が同時に物上保証人と人的保証人を兼ねる場合には、民法五〇一条五号の適用についてはこれを一人とするのが相当であるから、右連帯保証の事実は後記推究に影響を及ぼさない。

(三)  右事実によれば、特段の事情のない限り、原告が訴外銀行に代位して請求原因(四)の根抵当権を実行しようとする場合には、民法五〇一条五号が適用され、原告は、右根抵当権の被担保債権として、訴外銀行が訴外浜田に対して主張しえた被担保債権の内、原告と訴外浜田の二人でこれを二分した一しか主張しえないことになる。

(四)  しかし、民法五〇一条五号の規定は、弁済による代位に関し、別段の定めのない場合に、物上保証人と人的保証人との間の負担部分の割合が同一であるとして、その間の利益の調整を図ることを目的とした規定であり、物上保証人と人的保証人との間に負担部分の割合につき特段の約定があり、代位の方法についてもその割合によるべき旨の約定がある場合には、その約定に従って両者の関係が定まると解するのが相当である。

(五)  いずれも訴外浜田が昭和四七年八月二二日原告に対し、原告が訴外銀行に対し訴外会社の請求原因(三)の債務を代位弁済した場合には、訴外会社と連帯して、原告の弁済額全額及びこれに対する代位弁済の日の翌日から完済まで年一四・六パーセントの割合による遅延損害金を償還する旨を約した事実(請求原因(六)の(1)の一部)及び訴外浜田が訴外銀行に対し保証債務を弁済し、又は訴外浜田が訴外銀行に提供した担保が実行された場合には、原告に対し何らの求償をしない旨を約した事実(同(六)の(3))については、いずれも原告と被告協会及び被告金庫との間に争いがなく、原告と被告会社との間においては、《証拠省略》によりこれを認めることができる。右認定に反する証拠はない。右事実によれば、原告と訴外浜田とは、右同日、訴外会社が訴外銀行に対して負担する請求原因(三)の債務につき、物上保証人としての訴外浜田と人的保証人としての原告の負担部分の割合を、訴外浜田が全部で原告が零とする旨の約定をしたというべきである。

(六)  訴外浜田が昭和四七年八月二二日原告に対し、原告が訴外会社の請求原因(三)の債務を代位弁済した場合には、訴外浜田が訴外銀行に提供した担保の全部につき、訴外銀行に代位し、その求償権の範囲内で訴外銀行の有していた一切の権利を行使できる旨約した事実(請求原因(六)の(2))については、原告と被告協会及び被告金庫との間に争いがなく、原告と被告会社との間においては、《証拠省略》によりこれを認めることができる。右認定に反する証拠はない。右事実によれば、原告と訴外浜田とは、右同日、訴外浜田が訴外銀行に対して設定した本件土地建物についての根抵当権につき、人的保証人としての原告が訴外銀行に代位して物上保証人としての浜田に対し右根抵当権の実行をする場合の代位の方法を、右(五)の負担部分の割合の約定に応じ、民法五〇一条五号の規定を排除して、訴外銀行の有していた権利を全部行使できることとする旨の約定をしたというべきである。

(七)  そうすると、原告と訴外浜田との間には、右(四)に説示の約定があって、原告が訴外銀行に代位して請求原因(四)の根抵当権の実行をする場合の原告と訴外浜田との関係は、右約定により定まることになるから、原告は、民法五〇一条五号の規定の適用を受けることなく、訴外銀行の有していた権利全部を行使することができることになる。なお、この場合の根抵当権の実行が、配当手続における優先弁済の主張を含むことはいうまでもない。

(八)  さらに、右根抵当権の実行に際して原告が主張する債権は、前記二の(七)のとおり約定の年一四・六パーセントの割合による遅延損害金を含むことになるが、この点につき、民法四六五条一項が準用する同法四四二条二項には、法定利息によるとの規定がある。しかし、右は、当事者間に何の約定もない場合の利益の調整のための規定であって、保証人と主たる債務者との間に別異の約定がある場合には、他の保証人に対しても、右約定により利率が定まると解するのが相当である。このように解しても、弁済者は債権者の有していた権利の範囲内でしか債権者に代位しえないのであるから、他の保証人の不利益となることはありえない。

四  右求償債権についての遅延損害金の利率の約定及び代位の方法についての民法五〇一条五号の規定の排除の約定が第三者に対して有する効力につき検討する。

(一)  まず、求償債権の範囲については、もともと第三者との関係は考慮の余地がなく、弁済者と求償債務者との間のみで定まるものである。弁済者が求償債権の満足のために債権者の有していた根抵当権を代位行使する場合に後順位抵当権者が直接に利害関係を有するのは右根抵当権の被担保債権の範囲であって、ただ求償債権の範囲が右被担保債権以下であれば求償債権の範囲について、間接的に利害関係を有するに過ぎない。しかしながら、求償債権の範囲は弁済者と求償債務者との間のみで定まるものであるということは、後順位抵当権者等の第三者は、債権者の有していた権利の制約を甘受すべきであって、通常は、その完全な実行を予期すべきであり、又、右権利の変更消滅等があってこれによって、後順位抵当権者等に利益がもたらされるとしても、右利益は、弁済者と求償債務者間の法律関係の反射的利益にすぎず、又、事前においては期待利益にすぎず、従って、このような利益により、遡って、求償権の範囲を定める余地はないということに帰着する。

(二)  以上の前提にたつと、求償債権についての遅延損害金の約定利率がいかに大きくても、弁済者は、債権者の有する以上の権利を行使しえないのであるから、そのことにより第三者が不利益を蒙むることはありえない。従って、右約定は、第三者に対する関係でも、何らの公示方法を備えていなくても、右の限度で有効というべきである。

(三)  又、代位の方法についての約定の第三者に対する効力を検討すると、民法五〇一条五号の規定は、前記三の(四)に説示のとおりの目的、内容の任意規定であって、物上保証人提供の担保物件に設定された後順位担保権者等第三者との関係までをも内容とする規定ではないのであるから、右約定は、右第三者に対する関係でも、何らの公示方法等対抗要件を備えていなくても、有効というべきである。

五  そこで、最後に、原告が代位行使しうる訴外銀行が訴外浜田に対して有していた権利につき検討する。

(一)  訴外銀行が訴外会社に対して有していた請求原因(四)の根抵当権につき、昭和四九年一月八日、取引の終了により担保すべき元本が以後発生しなくなったため、元本が確定し、同年八月六日、元本確定の付記登記がされた事実については、全当事者間に争いがない。そして、《証拠省略》と前記二の(四)の事実とによれば、訴外銀行が訴外会社に対して有していた請求原因(四)の根抵当権の被担保債権は、右元本確定当時において、元本として金一八八〇万円及びこれに対する昭和四九年一月一日から完済まで約定以下の年七・五パーセントの割合による遅延損害金であり、原告による弁済の当時において、前記二の(四)の説示の原告の弁済額と同額であった事実を認めることができる。

(二)  請求原因(九)の事実については、全当事者間に争いがない。

(三)  被告らが、本件土地建物の競売による売得金につき、訴外銀行及びこれから根抵当権の移転を受けた原告に優先して弁済を受ける権利を有することについては、何の主張、立証もない。

(四)  そうすると、以上の事実関係に徴すれば、原告は、前記二の(四)の弁済により、前記二の(七)の求償債権につき、本件土地建物の競売による売得金から、訴外銀行が訴外会社に対して、有していた前記二の(四)の弁済にかかる債権の範囲内で、優先弁済を請求しうることとなる。

(五)  原告の求償債権についても、その充当は法定充当の規定によってなされることになるから、右債権中右売得金が配当される順位は、第一に元本金一九一四万七六七一円に対する前記昭和四九年八月一〇日から配当期日である昭和五〇年一二月二五日まで五〇三日間の約定の年一四・六パーセントの割合による遅延損害金三八五万二五一一円、第二に元本金一九一四万七六七一円となるが、これに配当される金員は、金一四〇〇万〇五四九円しかなく、これが訴外銀行が訴外会社に対して有していた前記二の(四)の合計金一九一四万七六七一円を下廻ることは明らかであるから、結局、原告に配当される金員は、右遅延損害金につき金三八五万二五一一円及び右元本につき金一〇一四万八〇三八円となる。

六  よって、別紙第一配当表中順位3の1以下に対する配当金の全額につき原告に対する配当を求める原告の請求は正当である。なお、右の結論は、原告の主張する配当金額と比較し、遅延損害金について多く、元本について少ないが、その合計において同額であるから、その内訳については民訴法一八六条の制限は及ばず、右の結論に従った配当を実施することとしても、同条に違反しないと解する。従って、同配当表中順位3の1以下の部分を別紙第三配当表のとおり変更してこれを実施することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九三条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高瀬秀雄 裁判官江田五月は退官のため、裁判官清水篤は転任のためいずれも署名押印することができない。裁判長裁判官 高瀬秀雄)

〈以下省略〉

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